古い物件の注意点

2015.10.09 | 物件ラボ

今回は、古い賃貸物件を見学する際、ぜひチェックしていただきたいポイントを紹介します。
私たちが現地を確認する時、必ずチェックしている箇所。新しい建物では当たり前のことでも、古いものだとそうでないことが結構あるのです。不動産会社が必ず説明しなければならない項目ではないため、気付かずに入居後がっかり…なんてことにならないよう、見学時にしっかり確認しておきましょう!

①エアコンの設置が出来るか?
3LDKとかのファミリー物件の場合、まず最初に確認するのがこれです。
エアコンを取り付けるためには室外機置場のあることが必須で、専用の電源や配管用のスリーブ(壁に穴)が無いと使いづらい。でも、ルームエアコンが一般的でない時代の物件は、その使用を前提につくられておらず、設置できない部屋が案外多い。部屋数が多くても、設置できる部屋はバルコニーに面したリビングと個室の一部屋だけ、なんてことも珍しくはありません。

例えばこんな部屋。

玄関側の2部屋にはエアコンが設置できない可能性あり。共用通路に面するので窓を開けておきづらく、大体暗い部屋が多いので3LDKなのに実際は1LDK+納戸2部屋のような使い方になっているケースも。

②電気の容量
ブレーカーをチェックします。
古い建物の部屋は30Aまでしか上げることのできないものが多い(新しい建物は普通60A)。家族の多いご家庭や業務上アンペアが必要なオフィス使いの方等は要注意。また、配線方式には古いタイプの2本で接続する「単相2線式」と3本の「単相3線式」というものがあって、2線式では200Vのエアコンが取り付けられません。

写真は弊社の3線タイプ(このコードが2本しかないのが2線タイプ)。もともとは2線式の30Aだったのですが、200Vのエアコンをつけたかったのと容量が心許なかったので、オーナーに許可をもらい工事して変えました。引き込み線から変えないといけないということで、工事代が結構かかった…でも、変えることができただけでラッキーなのです。建物全体の容量を考慮して、アンペアアップの許可をもらえないことも結構あります。

③照明のスイッチがあるか?

古い和室を洋間に変更した部屋には照明用スイッチの無いことが!
もともと、和室に吊るすような昔タイプの照明にはそのもの自体にヒモ状のスイッチがついているので、古い和室には部屋側にスイッチの無いことが多い。和室が洋間に綺麗にリフォームされていても、スイッチ部分まで手を入れられていないことがあって、「いつもの照明を取り付けて初めて気づいた」といった話もよく聞きます。これは、引っ掛けシーリング用のリモコンスイッチを使えばクリアできる問題です。好みにもよりますが。

④水圧
水道の蛇口を開けて確認します。
マンションの給水方法には高置水槽方式(屋上にタンクが置いてあるタイプ)と直結増圧式があって、古い建物は前者が多いのだけど、この方式だと水圧を高低差で得るため、上の階に行くほど水圧が弱くなります。特に最上階は要注意。バスタイムはシャワーのみ、といった方は、冬場がつらいかも。

⑤網戸
意外とついていない物件が多い。
窓を開け放して生活したい方は対策必須。緑があって環境の良い所ほど虫はいます。

⑥トイレ・浴室の換気扇
換気扇が付いていない物件も意外と多い。
窓を使った自然換気や、換気扇に見えても実はただの換気口ということもある。窓がある場合はいいけど、換気口だけの場合は、湿気や臭気がこもりやすいと考えた方が良い。

⑦洗濯機置き場
ドラム式等の大きな洗濯機をお使いの方は要注意。
置く場所のサイズはあっても、出入り口の幅が60㎝を切っている古い物件も珍しくありません。

⑧ガス
都市ガスかプロパンガスか?これは不動産会社に説明義務(契約時に)があるけど、トラブルになりやすいところなので念のために。設備としてキッチンにガスコンロが付いていない場合は、自分で専用のものを持ち込まなければなりません。使えると思っていたコンロが実は使えなかった、ということの無いように。

 

以上です。他にもコンセントの位置や数、ネットの環境などが上げられますが、今日はここまで。
またの機会に書きたいと思います。

古い物件には古いものならではの趣きがあります。でも、古いが故に使いづらい(現代のライフスタイルからすると)部分も正直ある。ネガティブな部分をきちんと理解し、どの部分だったら許容できるかを納得した上で、味のある暮らしをお楽しみいただければと思います。

※ユーザーの皆さま、実際にお住いの賃貸物件で、「使いづらい」や「改善してもらいたい」等の具体例がありましたら、教えてください。今後のリノベーション・物件づくりに役立てさせて頂きます。