古家屋のある景色

先日からお伝えしてきた、長崎県波佐見町の「空き工房 活用プロジェクト」
前回記事では、空き工房の今をご覧頂きました。(今までの記事はこちら

現地調査を終えた後は会議を重ね、
いよいよ活用に向けた案がまとまりましたので本日はその発表を…

の前に、ちょっと寄り道して、ぶらり波佐見まちあるき。
波佐見町役場さんの近くに、古い建物が建ち並ぶ素敵なエリアがあるんです。

後で知ったのですが、ここは江戸から明治初期にかけ、有田と川棚を結ぶ宿場街道として栄えた地域だそう。

今は閑静な住宅街となっているものの、当時の地図と商家の跡地に屋号が掲げられ、面影を追えるようになっています。江戸時代から明治・大正、昭和、そして現在まで。様々な時代の建物が一堂に会する、珍しくも風情ある町並み。

残念ながら建物は借りられませんが、本日はその魅力をお届けしたいと思います。

 

寄棟の木造2階建、渋みある色に変化した板壁が格好良い旧鍛冶屋さん。

染物屋さん跡。建物はなく、今は駐車場に。

 

旧わた屋さん。木造建築にレンガ塀の組み合わせが目を惹く、立派な家屋。

旧わた屋さんを左に行くと、今は一般住居になっている畳屋さんと新升屋さん跡が。

その隣にも升屋の看板。恐らく、住居ではなく何か別の用途で使われていたのでしょう。

 

四角い箱にぽこんと乗っかった三角屋根、駅舎を連想させる造りの門。正面に扉はなく、腰板の上に嵌めこまれた透明ガラスの一部が上げ下げ出来るようになっています。受け付けなどに使われる窓口だったのかもしれませんね。正面右からも二枚引き戸で出入り可能な一方、左側は前庭でしょうか。板塀に囲われて、往来からはのぞけない造り。

  

細部をよくよく見てみると、レトロな丸いブラケットや意匠窓、木部の塗装など、洋が見え隠れしています。

 

そのまま歩くと、酒蔵が見えてきました。

地図と屋号が一致しているのでもしやと思えば、なんと今でも酒屋さんとして営業されているそう。創業は江戸の後期。200年以上前ということに…。すごい!

白漆喰で上塗りされた土塀が美しいですね。雨風に洗われた様子に年月を感じます。

 

向かいは蝋屋さん跡。ピンクに塗られた木製のガラス戸と、赤い格納庫。今は可愛らしい雰囲気の工場に。

 

地図には載っていなかったのですが、こんな建物も発見しました。アールデコ調の堅固な石造り。何に使われていたか分かりますか?旧波佐見銀行だそうです。

パラペットや庇のベンガラ色がアクセントになっていますね。

 

いかがでしたでしょうか。

「これはいつ頃のものだろう?」「何に使われていたんだろう?」なんて想像していると、決して広くはない区画なのに、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

 

水路には透き通った水が流れ、メダカがたくさん泳いでいたり、

  

酒屋さん奥の波佐見川では白鷺が餌を獲っていたり…

まだまだご紹介したいポイントはあるのですが、終わらなさそうなので今日はこの辺まで!

やきものだけでなく、こうした歴史背景や景観も波佐見の魅力の一つですね。

今日ご紹介したのは宿郷という地域。

建物内に入ることはできないのですが、散策するだけでも十分楽しめるので、波佐見に行かれた際はぜひ立ち寄ってみて下さい。


次回予告


さて、次回はいよいよ波佐見町プロジェクトの全体像をご報告したいと思います。

ただいま情報をまとめておりますので、もう少々お待ち下さい…
お楽しみに!

text/いしだ