モニターツアー⑥ 西の原散策
敷地1500坪、西の原散策
松原工房でお買い物をした後は、いよいよツアー最後のプログラム、「西の原」散策に向かいます。 西の原とは、1500坪の敷地に建つ、複数の元工房を活用したギャラリーやショップが集まったエリアのこと。
ここは元々、「幸山陶苑」という窯元の製陶所でした。 波佐見焼は分業制とお伝えしましたが、この大規模な製陶所は全ての工程を完結できる機能を持っており、一つ一つの建物がその役割を担っていたようです。今はそこに新たな息吹が吹き込まれ、車しか手段がないにもかかわらず、平日でもランチに列ができるほどの人気エリアとなっています。 エリア内にある店舗は全部で8つ(内1つは貸しスペース)。全てご紹介していると、それだけで記事が一つ書けてしまうので、駆け足になりますが、ぎゅっと縮めたダイジェスト版でお楽しみ下さい!
(向かって左手前から奥に向かって時計回りにモンネ・ルギ・ムック、モンネ・ポルト、グロッサリーモリスケ、右手前は私邸)
モンネ・ルギ・ムック|カフェ・レストラン
平日でも、開店同時に満席となる人気レストラン。2階ではハンモックが楽しめます。
モンネ・ポルト|ギャラリー&雑貨のお店
入り口の水槽は陶土置き場を利用したもの。
ざっくりした工房の造りはそのままに、リデザインで、洗練された空間に仕上がっています。
グロッサリーモリスケ|食材と雑貨のお店
HANAわくすい|生活道具のお店
にぎりめし かわち|おにぎり屋さん
南倉庫|器のお店
少し斜面になった敷地の一番奥、高台に位置する南倉庫。窓からは低地の屋根が見下ろせます。さらりとディスプレイされているのは生地の「型」。
833スタヂオ|多目的スペース
南倉庫の向かいには、ライブや展示会、マーケットなどに利用できる833(はさみ)スタヂオ。
シェイディー|珈琲のお店
1階がイソザキ珈琲シェイディー、2階は女性専用プライベートサロンのリュエル。 アプローチのタイル部分には、焼成の際に使われるやきもの道具が再利用されています。
最近増設したという、テイクアウトスペース。「壁の塗装やカウンターの設置は自分たちでしました」とのこと。DIYの先輩です。
西の原というテーマパーク
いかがでしたか?店舗それぞれの魅力はもちろん、エリア全体の世界観が統一されているので「空間そのもの」への満足度が非常に高く、まるでテーマパークのようなわくわく感が味わえます。また、来る度に少しずつ変わっていくのも見逃せないところ。飽きさせない工夫が随所に施されており、連日駐車場が満車になるのに納得です。 敷地内にはまだ未改修の工房もあったのですが、それを見た参加者の方から「この状態がこれらのショップになると思えば、可能性を感じられる。空き工房だけ見ても想像が難しかったけれど、ここでビフォアーアフターを並べて見ることができたのはよかった」という意見を頂きました。
おわりに
これで、2日間全てのプログラムが終了です。役場に戻り、起業や移住に関する助成制度のこと、移住する場合の住居についての説明などをした後、質疑応答を経て、アンケートにご協力頂き解散となりました。
ほぼ全員の方が「波佐見についての理解が深まった」「知りたかったことを知ることができた」と書いて下さったのですが、参加者の目的や年代が実に多様だった今回のツアーでは、様々な視点からご意見を頂くことができ、チームにとっても予想以上の成果を得ることができました。 成果はたくさんあったのですが、ツアーを実施したからこそ、で言えば「空き工房を知らない人に、空き工房を活用するにあたっての説明の仕方や説明のポイントを知ることができた」ということでしょうか。
空き工房の持つ可能性と課題のバランスについて、まだまだ伝える力が不足していることが分かりました。 現時点で空き工房が抱える最大の課題、「水回り」について公式サイトに記載しています。一般的な賃貸のように、設備面を改修して貸し出せない(貸し出さない)地域特有の理由なども説明していますので、興味がある方はぜひ一度読んで頂ければと思います。
それにしても、終わってみるとあっと言う間だった2日間。緊張から始まりましたが、「空き工房を活用する」という共通項が参加者同士の連携を生んでくれたように思います。 今後プロジェクトを進める上で、今回のようにどんどん興味ある人を巻き込み、また、町内で既に空き工房や古家屋を活用している先進事例の方たちとも繋がって行ければいいですね。先進事例の方たちは、空き工房の設備面をクリアした強者です。空き工房を活用する最大のハードルが設備の改修だとすれば、彼らの経験は貴重な財産。空き工房貸し出しの仕組みづくりだけでなく、みんながWin-Winになれるネットワークづくりにも今後取り組みたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
text/いしだ